Yerim Park

COMPACT41は12月6日(土)から12月27日(土)までパク・イェリム(Yerim Park / 朴藝林)による『しりとり』展を開催いたします。
イェリムは様々な分野からのインスピレーションを陶作品に落とし込む表現を行ってきました。それは身近なものや自然、芸術、夢など純粋な興味からのひらめきを形にするプロセスであり、日記やメモをとるような収集や記録としての役割も果たしています。取り上げるテーマはその制作の中での直感的な興味や流れの中から生まれ、しりとり遊びをするように、そのアイデアは次、また次の作品へと移り変わっていきます。

本展ではその中から「Stone series」を中心に展示します。韓国の「石積み」の文化から着想を得たこのシリーズは、陶芸に「石」という独自の要素を加えることで起こる反応を試みます。
作家はこのように語ります:
「出発点は、陶芸に使われる精密に加工された素材が、私たちが日々歩いている大地や観察している自然から来ていることに気付いたことでした。
韓国では、石積みの風景をよく目にします。その形には、願いや祈りなど、さまざまな意図が込められています。
石を積むという行為には、それぞれの石を揃え、バランスを取り、形を整える動作が伴います。
粘土の塊を陶器としての形や役割を持つものに焼成し、石片と共に焼き上げる過程では、高温に耐えられない素材はひび割れたり溶けたりし、ひとつのまとまりとして統一されることはありません。
石、釉薬、粘土という三つの素材が調和して融合したとき、それはオブジェであると同時に芸術作品として生まれ変わります。
このプロセスの中で、石を積みながら希望を込めて祈るような精神が、ひとつひとつの作品に宿ります。
粘土、釉薬、石が組み合わさって生まれた器の形は、衝突し、融合し、ひとつの統一されたオブジェとなるのです。」
そしてこれは、彫刻の要素を持つ「石」を陶芸という工芸のアプローチから再解釈することで、アートとクラフトという二つの世界を結びつける試みでもあります。

石積みには長い歴史があり、その文化は脈々と受け継がれてきました。そして、その歴史や文化は未来へつながる意図を持っています。
その伝統を、現代の若い作家が自分のフィルターを通して再解釈し、表現する。古くから続くものと今を生きる感覚が重なり合うことで、奥行きが生まれ、文化と共に生きている感覚がそこに息づいています。
「すでにあるもの」を起点に、それを新しい価値へと変換する営み。釉薬と土という要素で構成される陶芸に「Stone series」では「石」という独自の要素が加わりました。しりとりもまた、すでに存在する単語だけで構成されていきます。普遍的なテーマであっても、それを大袈裟に構えず、日常の延長、個人的な日記のように展開される作品群。それらは、しりとり遊びのように軽快に続いていきます。その遊び心に満ちた連鎖は、日々を忙しく生きる私たちに、新たな視点や気づきをもたらしてくれるでしょう。

開催情報
会期:2025年12月6日(土)〜12月27日(土)
時間:12:00〜17:00
休廊日:日・月・祝日(※臨時休廊あり。最新情報はInstagramをご確認ください)
会場:COMPACT41(東京都練馬区上石神井4-25-4)
アクセス:西武新宿線上石神井駅・武蔵関駅より徒歩10分
入場料:無料
アーティストプロフィール
パク・イェリム(Yerim Park/朴 藝林)
1997年、大韓民国生まれ
韓国・京畿道水原市在住/制作
Instagram: @yerimphis
学歴
2018–2023
国民大学校(ソウル)工芸学部 陶磁専攻 学士
展示 / 受賞歴
2022 — Best Young Designer(最優秀若手デザイナー賞)、ソウルデザインフェスティバル(Yerimpiece 名義)
朴藝林は、素材性への深い探究を基盤とした彫刻的オブジェを制作している。彼女にとって彫刻的なフォルムは、クラフトに対する個人的な視点を表現する手段である。素材のふるまい、そして日常に存在する物のささやかな気配を見つめながら、生活空間にそっと寄り添い、日々の体験と共鳴する、小さな喜びを生む作品づくりを目指している。
関連イベント
オープニングパーティ|12月6日(土)14:00〜
『しりとり』展をテーマにしたオリジナルのお菓子をご用意しております。
作家も在廊いたしますので、作品への想いや制作エピソードなどを直接お聞きいただける機会です。
皆さまのご来場を心よりお待ちしております。